磨牙まが(小坊主)

村瀬歩

村瀬歩

『百妖譜』の見どころ、注目してほしいポイントを教えてください。

本作は2話ごとに「上」「下」という形で、繋がったストーリーになっています。まだアフレコは始まったばかりですが、まず「上」を観た時には色々な情報が入ってきて「どういう感じのストーリーになるんだろう?」とドキドキし、「下」を観ると「こうなっていくんだ!」という驚きやわくわくがあります。映像美もそうなのですが、日本と異なる感性というか、「中国ではこういうところの情緒を大切にするんだな」という面白さや、「日本と共通するところがあるな」と思うシーンも登場し、魅力的だなと感じました。

中国ならではの文化もたくさん登場します。例えば、1話に麺を食べるシーンが登場しますが、日本の小麦粉ベースの黄色い麺とは違った、白っぽい麺が描かれています。「中国だからお米を使った麺なのかな」「すごく美味しそうだな」と感じて、そういった部分も面白いです。

ご自身の演じる磨牙(小坊主)の魅力や、役作り・お芝居をする際に意識した点などを教えてください。

磨牙は真面目で純粋なキャラなのですが、同時に人の懐に入るのがうまいというか......たぶん本人は全然そう思っていないですが、お坊さんでありながら、どこか小悪魔的なところがあります(笑)。相棒の桃夭は露悪的というかあえてヒール的なポジションを保っているキャラで、子供が寄って来たら「うるさい」と突っぱねそうなイメージですが、磨牙との間には居心地のいい空気感が作られています。もちろん桃夭の優しさもあると思いますが、そんな放っておけない雰囲気があるのが、磨牙の魅力なのかなと感じました。

役作りの面では「うわーん」と泣くシーンなど、等身大の小さい子供の喜怒哀楽をキャラクターらしく表現しようと意識しています。今作には、けっこう残酷なところや、ドキッとするところや、人間の怖さを描いているところがあります。その分、クスッと笑えるシーンは、(中国語の)原音でも大事にされているなと感じましたし、(収録の際に演出家さんからも)そのように演出を受けました。ギャグテイストのところは、絵のイメージにぴったりあわせるか、もしくはちょっとはみ出るくらいに演じました。

本作は、中国の人気アニメの吹き替え版となります。吹き替え版ということで、収録に際し通常のアフレコと異なった点、意識した点、工夫した点などがあれば教えてください。

中国アニメの吹き替えは、今作が初となります。中国語は早口というわけではないのですが、流れるように喋るというか、日本語的な感覚で聞いていると早く聞こえるなと感じています。ヘッドフォンで原音を聞きながらアフレコをするため、早さに引っぱられ過ぎないよう、意識しながら演じました。

また、海外で作られたアニメ絵のクオリティがとても高く、驚きました。1話に登場する風雪の宿のシーンでは、外の寒そうな雰囲気と、室内で運ばれてくる温かい麺とのギャップが、温度感まで伝わってきそうでこだわりを感じました。桃夭がとても美しく描かれていているシーンが登場したり、笑えるシーンでは等身はそのままで顔のパーツ類のみギャグテイストで描かれていたり、作画や映像も魅力的です。どういう風にアフレコしようかと、わくわくしました。

本作は、妖怪たちを"癒す"旅がテーマになっています。ご自身が行ってみたい「癒しの旅」のプランを教えてください。

僕は不動産を見るのが好きで(笑)、特に建築系......基礎工事や間取りなどが気になっています。建物が育っていくのを見るのが好きなので、アフレコスタジオへ行く際も時間がある場合は、途中にある新しいビルの写真を撮ったり、建設計画や工務店さんやデベロッパーさんなどをチェックしたりしています。

最近は大阪の梅田周辺が開発ラッシュで熱いのですが、仕事で行った時はなかなかゆっくり見られないため、旅として巡ってみたいですね。癒しですね。あと、大阪はたこ焼きも美味しいですが、僕が日本で一番好きなラーメン屋さんもあり、なかなかチャンスがありませんが行けた時は替え玉も2回注文しています。

本作は中国アニメということで、中国ならではの風習や食べ物などのカルチャーも多数登場します。 ご自身の好きな中華料理や、もし訪れたことがあれば思い出などを教えてください。

トークショーのお仕事で、後輩と一緒に上海へ行った時、中国料理を食べました。僕はとにかく油が大好きなのですが、本場の中国料理は質の良い油を使っていて、めちゃめちゃ美味しかったです。特に印象に残っているのは、上海ガニと点心。カニは身を食べずに味噌の部分だけを食べる形で贅沢だし、点心も大きいものから小さいものまであって、まさに満漢全席で......帰ってきたら体重が2キロ増えていました(笑)。あと、スタバの中国限定メニューで、パインとココナッツミルクを使ったピニャ・コラーダ風フラペチーノもあり、それも美味しかったです。日本でも売って欲しいなぁといつも思っています(笑)。

上海のイベントでは、トークショーをしたり、たくさんのサインを描いてファンの方へお渡し会をしたりしました。枚数が多く、結構な速さでお渡しする形になってしまったのですが、中国のファンの方々はみなさんお優しかったですね。

これから『百妖譜』をご覧になるファンの方々へメッセージをお願いします。

この作品は、桃夭という優れたお医者さんが、妖怪たちを癒していきながら色々なところを巡る物語です。話を追っていくと、見ていて心がウッくる場面もありますが、磨牙や登場する子供たちはみな純粋で......。「小さい頃の純粋な気持ちを忘れないように」といった戒めを自分に与えてくれるというか、人間賛歌的な部分があり、すごい物語だなと思っています。

とても楽しく収録しており、絵も完成していてとても見ごたえがあるものになっていますので、そこへ彩りを添えられたらと思って演じています。ぜひご覧いただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。